耳鼻咽喉科について
頸(くび)から上の視覚以外の知覚および運動障害(聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚、摂食、呼吸、音声言語)、またその原因となる腫瘍、炎症、外傷、アレルギーなどを一手に引き受けて治療にあたる、感覚器のエキスパートが耳鼻咽喉科です。
意外に思われるかもしれませんが、顔面神経は内耳道を走行していますので、顔面神経麻痺も耳鼻咽喉科が担当しますし、睡眠時無呼吸症候群の原因のほとんどは上気道の閉塞によるものですので、これもまた耳鼻咽喉科が担当します。
もちろんひと昔とは違い、医学はどんどん進歩し、より専門的に、より複雑になっていますので、必要に応じて脳神経外科、神経内科、眼科、皮膚科、歯科口腔外科などの専門医の先生方と協力して治療にあたるわけですが、くびから上のトラブルはひとまず耳鼻咽喉科医に相談していただければよろしいかと思います。
もちろん手術や入院が必要な症例につきましては、連携している地域の基幹病院に紹介させていただきますので、安心して受診してください。
耳、鼻、喉(のど)、それぞれ、下記のような症状がある場合は、ご来院をおすすめします。
耳の病気:主な症状
- 聞こえにくい
- 耳が痛む
- 耳だれがする
- 耳鳴りがする
- 耳が詰まった感じがする
- めまいがする
- …etc
鼻の病気:主な症状
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- 鼻血
- 鼻の臭いが気になる
- 臭いがしない、味がしない
- …etc
喉(のど)の病気:主な症状
- 声のかすれ
- 喉がゴロゴロする
- 喉が痛む、腫れている
- 舌に痛み、しこりがある
- 喉、首のしこりが気になる
- いびきがひどい
- …etc
嗅覚検査について
嗅覚検査が普及しない大きな理由として、検査に使用するニオイ物質による室内汚染が挙げられます。T&Tオルファクトメーターにはイソ吉草酸とスカトールという悪臭が含まれているため、診察室と同スペースでの検査は論外ですが、たとえ別室であったとしても、充分に換気されていなければニオイが漂ってくることがあります。また換気が十分行われていない環境下の検査では、当然正しい結果が出ない可能性があります。つまり、部屋数に限りがある一般的な診療所では、物理的に検査の実施自体が難しいということになります。
当院の嗅覚検査室には独立した換気ダクトと脱臭装置に加え、壁紙も消臭効果の高いものを使用しております。診察室から嗅覚検査室への動線は、前室を挟んで2枚の扉で仕切られていますので、ニオイが漂ってくる心配はまずありません。
ところで、嗅覚が低下すると味覚にも障害が起こります。皆様も鼻が詰まったときに味がわからなくなるご経験は1度や2度おありかと存じます。これを風味障害と呼びます。味がわからないことを主訴に受診された患者さんで、味覚は正常で実は嗅覚が低下していたというケースもございます。そのような理由から、味覚検査も併せて実施しております。
においや味は、加齢により知らず知らずのうちに低下していても全く気が付かず、食べ物が腐っているかどうかわからない、火事やガス漏れに気づかない、といったこともあるようです。最近の研究では、パーキンソン病やアルツハイマー病の初期症状としても注目されています。その他、頭部外傷、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、感冒など、さまざまな原因で嗅覚低下は起こります。実際にお困りの方、自分の嗅覚に自信のない方、ご不安な方もどうぞお気軽にご相談ください。
嗅覚検査の種類
視力検査とはCの環の穴が開いている向きがどちらか指で指し示す検査、聴力検査とはピーと音が聞こえたらボタンを押す検査、というのは皆さんもよくご存じかと思います。しかしながら、嗅覚検査についてはご存じない方が大半であろうかと思います。
当院では
①静脈性嗅覚検査
②基準嗅力検査
③においスティック検査 の3つの検査を行っております。
静脈性嗅覚検査とはビタミンB1製剤であるアリナミン注射液を肘静脈に注射して、特有のニンニク臭がするかどうかを調べるものです。静脈から注射されたアリナミン臭が肺で呼気に拡散し、モワッと直接嗅覚受容器を刺激するわけですから、それでもニンニク臭を感じない場合は重症の可能性が高い、という判定になります。
基準嗅力検査にはT&Tオルファクトメーターという嗅覚検査キットを用います。無害でバラエティーに富んだニオイ物質5種類で構成されており、7~8段階の濃度で構成されています。嗅覚の閾値判定に有用であり、労災の補償判定にも採用されます。
基準嗅力検査がニオイの量的障害を判定するのに対し、においスティックはニオイの質的障害を検査するものです。われわれ日本人に馴染みの深い12種類のニオイがマイクロカプセル化され、スティック型容器に納められています。正解を含む4つの選択肢の中から最も当てはまる選択肢を選び、正答率でニオイの同定能力を評価します。
(参考 第一薬品産業株式会社ホームページ)
院内処方について
院内処方は、設備や薬剤の管理、調剤スタッフの確保など手間のかかることも多く、とくに近年は院外処方のほうが合理的で推進されているようですが、受診される皆様の利便性と経済性を重視し、リニューアル後も従来通り継続させていただくことになりました。
ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。院外処方をご希望の方はお手数ですが、毎回診察時にその旨を医師にお伝えください。
そのほか
●初診の方は保険証をお忘れなく、再診の方も月初めには保険証のご提示を宜しくお願いします。
●当院は難病医療費助成制度による指定医療機関です。好酸球性副鼻腔炎、シェーグレン症候群など対象となる疾患をお持ちの方はお申し出ください。